今回、日本ロレアルが初めて開催した、ケーススタディ型ワークショップ(ファイナンス職編)2018の取材に行きました。

当日の様子をまとめましたので、ネオトラDocs会員の皆様に配信致します。

会社の理念や業務内容、そして実際にファイナンス職として働くことの魅力など、その実態に迫ります。

第一弾の今回は、日本ロレアルファイナンス職 ディヴィジョンコントローラー※1 フランク・ピドゥ氏による特別講演(事業戦略・業務内容)についてまとめます。

ー以下、日本ロレアルファイナンス職 ディヴィジョンコントローラー ピドゥ氏による講演ー

※1:ディヴィジョンコントローラーとは:ロレアルは販売チャネル別にビジネスを管理しており、担当事業部全体(同事業部に所属するすべてのブランドを含む)の予算管理や、ビジネスプランの立案に関わり、財務面から経営に携わります。

日本ロレアルが大切にする価値観について

日本ロレアル ファイナンス職 ディヴィジョンコントローラー ピドゥ氏

世界最大の化粧品会社ロレアルグループの日本法人である日本ロレアル株式会社は、企業理念として「美は人生を変える」を掲げています。

Beauty(美)が可能にするのは自己表現、そして自分の考えるイメージを発信できることだと考えています。

美は自分に自信を持たせ人生にとってプラスに寄与する。そのことから、「美は人生を変える」ことができると考えています。

そして以下の3つが日本ロレアルにとって大切な価値観として受け継がれています。

ONE BUSINESS “BEAUTY”

ロレアルは100年以上美を追求するビジネスに情熱を注いできました。我々の得意分野に専念し、すべてのリソースをBeautyビジネスに集中させ活用し続けます。

ONE STRATEGY “UNIVERSALISATION OF BEAUTY”

地域、文化、歴史によって美に対するニーズが異なるため、それぞれに合わせた戦略や革新的な製品を通し、すべての人に“美”を展開することを”UNIVERSALISATION”といいます。

ONE OBJECTIVE “ONE BILLION NEW CONSUMER”

ロレアルは今までのビジネスを通し10億人の顧客と接点を持っています。そしてさらに新たな10億人の新顧客獲得目指し、日々仕事をしています。

数字から見るロレアル

ロレアルは、コスメ業界では世界No. 1の売り上げを誇り、社員は約8万人強、34個の国際ブランドを有し、150カ国にビジネスを展開しています。

みなさんは、化粧品と聞くとどのようなものを思い浮かべますでしょうか?

化粧品はメイクアップ、スキンケア、ヘアケア、ボディケア、フレグランスなどの種類があり、実は全ての人がユーザーであるということが言えます。

また、化粧品業界の市場規模は25兆円にも及んでいて、市場は日々成長しています。

その要因として中国、ブラジルなどの発展している国で需要が増え続けているという点が挙げられます。

また、化粧品の販売チャネルは多岐にわたっています。

百貨店のようにBA(Beauty Adviser)、つまり美容に詳しい専門のスタッフがいる場所もあれば、ドラッグストアのように専門のスタッフが存在しない、いわゆるマス市場といわれる場所でも製品の販売をしています。さらに、美容室などで美容師の施術によって製品の効果を体感する場所や、皮膚科、調剤薬局などでも販売をしています。

近年ではオンラインで製品を購入する消費者も増え、Eコマースも販売経路として注目が集まっています。

ロレアルは、今挙げた全ての販売チャネルで、ブランド・製品を展開しているのです。

4つの事業部

日本ロレアルは、上記に記載をした多岐にわたる販売経路を全て網羅しています。

プロフェッショナル プロダクツ事業本部:美容室などプロフェッショナルな場所に卸すものに携わる部署

コンシューマー プロダクツ事業本部:一般消費者向けのものを扱う部署で、平均客単価が約1,500円の製品を扱う

ロレアル リュクス事業本部:百貨店など少しハイクラス層向けのものを扱う部署で客単価が約6,000円の製品を扱う

アクティブ コスメティックス事業部:薬局などに卸す製品を扱っている部署

ロレアルは実に30年もの間、業界世界No. 1のポジションに君臨している会社なのです。

これからの成長戦略

ロレアル全体の成長戦略としては、新たな市場開拓や、M&Aなどを通じて継続的な成長を目指しています。

現在の売り上げとしては西ヨーロッパが約30パーセントを占めていて、いわゆるニューマケットのアジア、ラテンアメリカ、東ヨーロッパ、アフリカなどが約40パーセント、北アメリカが約30パーセントを占めています。

ロレアルグループにおいて、日本ロレアルは世界でも重要な拠点として位置付けられており、日本国内に研究開発所をアジアの中でいち早く開設しました。

日本がロレアルグループにとって重要視されている背景には大きく3つ理由があります。

まず1つ目として、アメリカ、中国、ブラジルに次ぎ世界第4位と市場規模が大きい点です。

2つ目に内資外資含め競合性の高い市場であるという点です。

そして3つ目が洗練された消費者ニーズがあるという点です。日本人の美に対する意識は世界と比べても先進的であると言われています。

そのため、日本の研究開発所は日本のみならず、世界に向けて製品開発を行っており、ロレアルグループの成長戦略の鍵となっているといえます。

-Q&A Session-

ー以下、学生と現場の第一線で活躍する社員のQ&Aセッションー

Q.地域ごとによって製品の需要が異なるが、どのようにして注力すべき点を見極めていますか?

A.日本のメーカーが真似できないフランス、イタリアなどのヨーロッパのブランドは、そもそもブランド力があります。

一方で、スキンケア製品においては日本企業の質の高さは素晴らしいものがあります。

「どの市場のどの製品に注力をしていくか」、「どの層をターゲットにしていくか」をよく考えて戦略を立てていくことが大切だと考えています。

後ほど紹介するファイナンス職の価値が最も発揮される点でもあります。

 

Q.人種などによっての製品の特徴はありますか?

A.例えばシャンプーのボトルの容器の容量なども売る国によって違いますし、製造する設備も国ごとに異なります。

人種によっても肌に合うものが異なるなど、売る国に合わせて製品も特徴が異なります。

インドなどの発展途上国ではコスメティックスといったものは高級な嗜好品のため、例えばボトルでシャンプーを買うことは稀で、小さいリフィル(日本で配っているような試供品サイズの消費)などで販売されていることが多いです。

 

Q.ユニリーバなどの競合と比べて、日本ロレアルは多くのブランドがあるイメージがあるがそれはなぜですか?また、日本ロレアルという名前でブランドを出せばいいのに、なぜアルマーニやイヴ・サンローランなどのブランドで押し出すのですか?

A.多様なニーズに応えられるようブランドポートフォリオを管理し、ブランドそれぞれの世界感を打ち出すことを意識しています。

そしてブランドの質やそれ自体が持つ付加価値が大切で、お客様に「そのブランドを使っている」という実感を持って欲しいと考えています。

逆に日本ロレアルの製品だと知られていないということは、ブランディングが上手くいっているということが言えるのでむしろ良い傾向だと考えています。

まとめ〜編集後記〜

ピドゥ氏が登壇された際に、参加学生からはどよめきが起こりました。学生に個別にお話を伺うと、「外国の方が登壇されたので、英語のプレゼンテーションかと思ってドキドキしました」とのこと。

ピドゥ氏は、フランスのご出身ですが、日本の大学を卒業し、とても流暢な日本語でプレゼンテーションをされていました。優秀な学生の採用にとても前向きで、皆様への期待もとても大きいとのことです。

日本ロレアルの魅力や数字上の優位性などを示して頂き、非常に興味が湧く機会でした。

次回は、「日本ロレアルのファイナンスの魅力について」を配信致します。

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