日本ロレアルが初めて開催した、ケーススタディ型ワークショップ(ファイナンス職編)2018記事に続き、第二弾の今回は、
・日本ロレアル ファイナンス職 ディヴィジョンコントローラー※1 ピドゥ氏による特別講演
・ビジネスケースの様子
・日本ロレアル採用担当からのメッセージ
についてまとめます。
ー以下、日本ロレアル ファイナンス職 ディヴィジョンコントローラー フランク・ピドゥ氏による講演ー
※1:ディヴィジョンコントローラーとは:ロレアルは販売チャネル別にビジネスを管理しており、担当事業部全体(同事業部に所属するすべてのブランドを含む)の予算管理や、ビジネスプランの立案に関わり、財務面から経営に携わります。
ファイナンス職の役割
日本ロレアル ファイナンス職 ディヴィジョンコントローラー ピドゥ氏
ファイナンスの仕事の役割は、ブランドの意思決定をする際の判断材料を提供し、経営戦略の方向性を数字で示すという非常に大切なものです。
化粧品業界は、常に新しい製品が市場に投入されます。ファイナンスは果たしてこの市場に投資をするべきか、という製品投入の判断をするためのコンサルタントのような役割をもつ仕事です。
日本ロレアルのファイナンス職は経営の意思決定に関する大切な判断材料を提供すると共に、ファイナンスのプロとして戦略的に事業に携われる点が魅力だと考えています。
ブランドコントローラーの仕事
その中でもブランドコントローラー※2と呼ばれるポジションがあります。様々な視点を捉え財務の観点から、ブランドにとって最適なビジネスプランを提案する役割です。
ブランドコントローラーの主な仕事は、
・ブランド予算の管理・立案
・資源最適配分の立案
・費用対効果の分析
・ブランドマネジメントへの提言
・本社へのレポーティング
などが挙げられます。
損益計算書(PL)に基づいて他のステークホルダーである営業職、サプライチェーン職、マーケティング職などと最適な戦略を考え実行します。
求められるスキルとしては
・高いコミュニケーションスキル
・数字を用いた分析力
・柔軟性
・ビジネスセンス
・行動力
・提案力
などが挙げられます。複雑な財務の話をシンプルに分かりやすく伝えないといけません。
※2:ブランドコントローラーとは:日本市場におけるビジネスを成功に導くために、担当ブランドの予算管理や、ビジネスプランの立案に関わり、財務面から経営に携わります。
-Q&A Session-
Q.ファイナンスに求められる資質でサステイナビリティーとはどういうことですか?
A.株主に対する経営の財務状況などの説明責任を、数字を使って的確に示すことです。その中でも正確性と迅速性が特に大切です。
ビューティー市場の成功の鍵は、データを集めて分析をして意思決定を早くすること、そしていかに迅速でサステイナブルな判断をできるかです。
そのための判断材料を提供する重要な役割を担っているのがファイナンスです。また、色々なブランドがあるため、その売上など数字のデータを正確に管理することも大切です。
Q.市場の動くスピードが速く、不確実性が高いためにリスクと機会を予測することが難しいと思うが、どのように判断しているのですか?
A.予測が完璧に当たることは、多くありません。ある程度の具体的な数字を過去のデータや世界情勢、競合の財務諸表といった様々な観点から分析をして判断をしています。
Q.業務はどのように学んでいくのですか?
財務諸表を読めるなど、基礎となる知識は全ての部門で共通して必要となります。
さらなる成長を目指すために、より専門的な知識を深めさせることを狙った人材成長戦略を設定しています。
例えば次のキャリアは現在就いている事業と同じ事業だが、フィールドを変えて海外で行うといった様に、人材を成長させていきます。
着実に階段を登っていくというよりは、若手のうちから、ジャンプをさせながらキャリアを積んでもらうことが多いと言えます。
厳しい側面はありますが、会社の成長のためには個人の成長が必要不可欠なので、そのようなキャリア形成の考え方を大切に考えています。
Q.今までで読めなかったリスクはどんなものがありますか?
A.例えば過去に百貨店ブランドのある製品が、予想を遥かに上回る売り上げを記録しました。次の年も昨年の実績を参考に売れるだろうと予測を立てたものの、トレンドの移り変わりが速い化粧品市場は我々の予想に反した動きをして、売り上げが落ち込んだという事象がありました。
トレンドが変わったということも要因として挙げられましたが、競合の成長や、製品自体の需要も常に変動し、様々な要因が絡んでいました。
以上が完璧な予測をすることがとても難しいということを実感したエピソードでした。
Q.スポット戦略は行わないのですか?
A.ニッチな分野を狙って展開するブランドもあります。
例えばカリフォルニアで1店舗だけ持ってお店を開くということもやっています。
感覚としてはスタートアップのようなもので、日々試行錯誤をしながら小さなエリアから参入していくということはよくあります。
その度にファイナンスが相談役となり、事業展開の舵取りを行っています。非常にチャレンジングで色々なことに携われる魅力を感じることが多い仕事です。
ブランドケースワークショップ
午後からは、近年日本における出店を積極的に行っている百貨店ブランドのケースワークショップを行いました。そのブランドの成長戦略を財務的観点から予測、損益計算書を作成する作業に取り組みました。
ーここからは、若手ブランドコントローラー2名に話者が変更ー
ワークショップの講義の様子
ワークショップの様子
ーワークの内容は割愛致します。ー
※日本ロレアル採用ページでは、今後のイベント情報が更新されますので、ぜひこの機会にエントリーをしてみてください。
ワークの講評
約2時間ほどのワークを行いプレゼンテーションの講評を頂きました。
ー日本ロレアル ファイナンス職 ブランドコントローラー 飯塚氏による講評ー
日本ロレアル ファイナンス職 ブランドコントローラー 飯塚氏
発表お疲れ様でした。短い時間の中でリサーチを行なってプレゼンテーションを作り、PLまで落とし込むというのは大変だったと思います。
ストーリーからPLに落とすというプロセスがしっかりできていたので、どのグループも良いプレゼンテーションだったと思います。
我々の仕事において一番重要なのは目標を達成するということです。PLを書くということは誰にもできますが、実際にそれを実行して数字として結果を出すことは本当に難しいことです。
関係者を巻き込み、適切なKPIを設定し、ファイナンスという側面から日本ロレアルの売上アップに貢献できることがブランドコントローラーのやりがいであると思います。
日本ロレアルのファイナンス職は、経営の意思決定に関する大切な判断材料を提供する仕事です。ファイナンスのプロとして事業の実行まで、そして戦略的に事業に携われる点が魅力的だと思います。
実際の仕事の中で「こういう風にいったらいいな」と思うようなことでも、実際にそうなることは多くありません。他の人とコミュニケーションをとりつつ、自分の意見も反映させていって目標に向かっていくという過程が、本当に面白くやりがいがあります。
興味を持って頂いた方は是非日本ロレアルを受けて頂けると幸いに思います。本日はありがとうございました。
人材育成の考え方
最後に人事から日本ロレアルにおける人材育成の考え方について紹介がありました。
ー日本ロレアル人事部 岩崎氏によるスピーチー
日本ロレアルは7:2:1という比率で人材育成を考えています。7割近くがOJT、実践的なプロジェクトを通し自ら学ぶことを推奨しています。
それに加え2割上司や同僚からのフィードバックを通し学びを深めていきます。そして最後の1割(クラスルーム形式やE-Learning等)は座学的な学習を用いて体系的に学びを深めてく機会を多く提供していきます。
そして日本ロレアル独自の「ペピニエプログラム」という新卒社員育成のプログラムがあります。
新卒入社者は将来の幹部候補として育てていくという方針があります。ペピニエとはフランス語で苗木という意味で、苗木から大木へ育てていく、つまり新卒から経営陣を輩出していくことを目指しています。
本日はお忙しいところお越しいただきましてありがとうございました。
まとめ〜編集後記〜
ワークの内容が非常に難しく、参加学生からは、「今までの1Dayイベントで一番充実しているプログラムでした」という声が多く上がっていました。
この時期のネオトラDocs会員は、コンサルティングファームや、外資金融を志望している方が7割程度になりますが、社内のコンサルタント/財務のプロとしての側面を持つファイナンス職に惹かれたという方が多くいらっしゃいました。
そして何よりも戦略に深くかかわれる、そして立てた戦略を実行するところまで携われることがメーカーの醍醐味であることがわかりました。
若手のうちから裁量権を持つことができ、チャレンジングな仕事をすることができるファイナンスという職種に挑戦してみてはいかがでしょうか?
お読み頂きました学生の皆様、並びに、今回取材にご協力して頂いた日本ロレアルの皆様、本当にありがとうございました。
株式会社ネオトラディション